このアプリケーション「ぜんそくログ」はiPhoneを利用して気管支喘息(以下、ぜんそく)患者の方々にアンケートに答えていただき、日本におけるぜんそくの実態調査を行うことで今後のぜんそく治療の向上に貢献することを目的とした臨床研究です。
ぜんそくでは気管や気管支などのいわゆる下気道が炎症を起こします。気道に炎症が存在することによって、気温の変化や気圧の変化などのさまざまな刺激に敏感になり、咳、喘鳴、呼吸困難などといった症状が出現します。しかも、一日のうちでの変動も激しく、夜苦しくても日中は症状がないことも多いため、正確な症状の変化を医師に伝えることが難しいこともあるでしょう。また、診察を受けるのは日中のみで、診察室ではそのときだけの症状しか評価はできません。そのため、使用されているお薬が有効かどうかなどのぜんそく管理状況を確認する方法を作り上げることが重要と考えています。とくに低気圧がくると症状の悪化を訴えられる患者さんが多くいらっしゃいますが、実際の悪化と気圧の変化がどの程度関連しているかはよくわかっていません。そこで、このアプリケーションでは、ぜんそく患者の方々にアンケートに答えていただき、日本におけるぜんそくの実態調査を行うとともに、iPhoneのアプリケーションから気圧情報を取得させていただくこと(iPhone 6、iPhone 6 Plus、iPhone 6s、iPhone 6s Plus)で気圧と症状の関連を調査させていただきます。また、アンケート調査の結果からぜんそく管理状況をフィードバックさせていただきますとともに、簡易のぜんそく日誌としても使用いただけるようになります。この研究を行う事でより良いぜんそく管理方法を確立することが出来れば、ぜんそく管理の向上が期待できるのではないかと考えております。
データ収集
このアプリケーションでは「ResearchKit」と呼ばれるApple社のフレームワークを利用しています。これまでの医学研究は、研究協力者が病院や研究所に出向いて参加するのが通常でした。しかし、ResearchKitは世界中で何億人もの人が携帯するiPhoneを利用して、自由に臨床研究に参加していただき、効率的な医学的情報の構築を可能にするものです。この仕組みを利用して、ぜんそくに関する質問票に回答していただきます。また、iPhone 6には気圧計が組み込まれています。そこで、iPhone 6を使用して本研究に参加いただける方からは、任意で気圧情報とGPS位置情報を収集し、気圧とぜんそく症状の関連を解析します。
さらに、このアプリケーションでは「HealthKit」を利用しています。HeatlhKitは、アプリケーションを通じて、iPhoneやApple Watchのセンサーで収集した健康データにアクセスすることを可能にするフレームワークです。ぜんそくログでは、アプリケーション上で入力していただいたピークフロー値(最大呼気流量)を簡易ピークフロー日誌として使用することができますが、同時にHealthKit経由で「ヘルスケア」(iPhoneにプリインストール)に書き込むことも可能です。これによりぜんそくログに入力したピークフロー値の推移をヘルスケアにおいても確認することができます。
対象
・20歳から80歳までの気管支喘息の方
・日本在住の方
・日常会話で日本語を使用される方
・iPhoneをお持ちの方
・このアプリケーション「ぜんそくログ」をダウンロードされた方
プライバシーと安全性
収集されたデータは、個人を特定できない形で管理されます。
機密保持に万全を尽くし、外部に漏れないように取り扱います。
データを臨床研究データ解析以外の他の目的に使用することはありません。
研究参加者にいかなる利害も発生しません。
研究参加に際して、費用負担は発生しません。ただし、アプリケーションをインストールする通信費は参加者の負担になります。
本研究は順天堂大学医学部研究等倫理委員会で承認された臨床研究です。
アプリケーション内にあります研究説明内容をご理解いただき、本研究に参加されることにご同意いただけた方にご参加をお願いしています。ご協力をよろしくお願いいたします。